原発とアインシュタインと遺伝子(前編)〜高校で習った知識で原発のあれこれをつらつらと

ここ一週間、テレビやネットのニュースで原発放射能漏れが騒がれていて、原発の文字を見ない日はない。

それらの各メディアが口を揃えて言うのが「ただちに人体への影響はない。」

じゃ影響ってなんなのさ?と突っ込みたくなるだろう。

そこで放射能漏れ→危険→避難しなきゃ、じゃあまりにも思考停止なので、

放射能ってどう人体に影響を与えるのさ?

・なんでそんな影響を与えるの?

・そもそも原発ってどんな仕組み?

について色々と調べてみた。実はこれらの疑問、高校で習った物理、化学、生物の知識で一通り説明できてしまう。

そして原発の仕組みを調べていくと、みなさんもよく知るアインシュタイン先生の相対性理論に帰着する。

1.原発ってどんな仕組み?

結論から言えば、原理力発電とはウランという物質に特殊な処理を行った時に、ウランの質量が欠けた分をエネルギーに変換して発電している。

え、どゆこと?と思いましたよね。

火力発電は燃料を燃やしたときの熱をエネルギーに変換しているのでイメージしやすい。

詳しく説明していくと、まず前提として全ての物質は、元素から構成されている。

iPhoneも、iPadも、もはや日の目を見なくなった弁当箱のようなAndroid端末も、Macbookも、二郎のラーメンも、手に入れたいと思ってるお気に入りのあの子の心臓も、全て元素から構成されている。

元素・・?どっかで聞いたことあります?
そう、高校時代に化学の授業で「すいへーりーべーぼくのふね・・・」で暗記させられた、H(水素) He(ヘリウム) Li(リチウム) Be(ベリウム) B(ホウ素) C(炭素) N(窒素) O(酸素) F(フッ素) Ne(ネオン)・・・のことである。

そして元素の最小単位が原子であり、原子は中央に中性子と陽子、その周りを電子がくるくる回っている。まるで太陽の周りをくるくる飛んでいる地球やその他の惑星みたいですね。
この図を見れば、高校時代の懐かしい化学の授業を思い出す方もいるかも?

さて話を戻すと、ウランとは、H He Li...と数えて92番目にUという記号で存在する。

ウランの中に3~5%ほど、特殊なウランが混ざっており、そのようなウラン原子に中性子を1個ぶつけると、ウラン原子が大変不安定な状態になる。
そして不安定なウラン原子は、安定な状態を求めて二つのバラバラな原子に分裂する。

この分裂の際に、ウラン原子の質量が幾分か欠けるのである。
つまり100gあったウラン原子にちょいと刺激を加えると99gの二つのばらばらな原子に分裂し、1gが欠ける、という現象が起きる。(数字はあくまでも説明のための例えで、実際の数値を反映している訳ではありません。)

あれ、じゃこの1gはどこに行ったの?質量保存の法則では、化学反応の前後で質量は変わらない、とされる。と言うと、そう、この1gこそが消えてエネルギーに変換されたのである。

ここでアインシュタイン先生のご登場。

特殊相対性理論E=mc^2 という式を一度は見たことが有るだろうか。Eはエネルギー、mは質量、cは光速(=299792458 m/s)、^2は2乗、つまりcを二回かけ算すること

つまり、質量に光速を二回掛け算するとエネルギーに変換できるということを意味している。極論を言えば、そこら辺に転がっている石っころでもエネルギーを持っているということである。

これこそが消えた1gのからくりで、この1gは質量としては消えたけど,E=mc^2 というアインシュタイン特殊相対性理論によって、エネルギーに変換されたのである。

そしてここで注目すべきはcを二回かけ算している点。

cは光速で、cを二回掛け算するとべらぼうに大きい値になる。ウラン原子の分裂によって、わずかに質量の欠損が起きるとめちゃめちゃ膨大な量のエネルギーが放出される。

これが、原子力発電がなぜ効率が良いか、またなぜこれだけの電気を供給できるかのからくりである。

以上が高校で習った化学、物理の知識で説明した原子力発電の仕組みである。

さて放射能が漏れるのは、ウラン原子が分裂してできた原子を普段は原子炉内に閉じ込めておくのだが、

その原子が原子炉の外に漏れ出ることである。

その放射能とは何か、人体にどんな影響を与えるのか、なぜ与えるのか?は分子生物学の観点から説明できるのだが、長くなったので後編に。

(P.S 大学・大学院まで研究者の端くれであったので、情報の正確性についてはきちんと調査のうえエントリを書いていますが、いかんせん原子力の専門家ではない故、もし間違いなどあればご指摘ください。)