海外でwebサービス展開する際にその国の文化に合せてサービスをローカライズすることが重要うんちゃら、って話を良く聞くけど、その具体的事例って思いつきます?

あまり思いつきませんよね。そんな方には下記のシンガポールローカライズした化粧品のEコマースの具体的事例をどうぞ。

シンガポール・マレーシア旅行の前編(【旅行とは期間内にweb上に無数にクラウドソーシング化された人的リソースをつぎはぎで組み合わせて楽しむものである】)の続きとして、現地でお会いした方との対話などでの気付きやシンガポールのWebユーザーの特性について。

【シリコンバレー旅行記】と同じように、現地で聞いたりしたや観察したことを箇条書きでまとめる形式で。
シンガポールでお会いしたのは、シンガポールBest Buy Worldという化粧品のEコマースを運営している村上社長、某ベンチャーシンガポール関連会社でソーシャルアプリの開発ディレクターをやっているT氏(今はもうやってないかな)。

シンガポールのみをターゲットとしているwebサービスはあまりない。シンガポールは人口500万人、インドネシアは人口2億人。普通ならインドネシアに向かうよね。

・村上さんの会社もシンガポールでEコマースやってるが、メインは化粧品の貿易事業で、在庫の一部の化粧品をBtoCでEコマースとして売っている。

シンガポールは国が小さくネットでもの買うより外に出ればすぐに買えるからEコマースは流行らない、というのが通説だった。それを覆し、ネットでものを買う文化を作ったのがBest Buy World。今では会員6万人いて、マレーシア、シンガポール市場も狙っている。

Best Buy WorldシンガポールでEコマースをやるときに、一番の成功ポイントだったのが自社で配送システムを構築したこと。化粧品でターゲットが女性である。この女性ユーザーも、シンガポール独特の特性を持っている。

シンガポールは国策で、ベビーシッターをフィリピンやマレーシアから受け入れてる。家事はベビーシッターに任せて、仕事しな、てな感じで。だからシンガポールでは女性の管理職が多かったり、お金を持ってたりする。

・さらにシンガポールの職場は日本みたくみんな同じフロアにオープンで並んで、というわけではなく、ブースで区切られていることが多い。だからみんな職場で仕事中にネットサーフィンしたりすることが多く、化粧品のEコマースのサイトも昼間〜夕方のトラフィックが一番多いとか。

・Eコマースの配送をシンガポールの宅急便会社に委託すると、基本日中にしか届けないので、女性ユーザーからすると不在届けが残って、週末にまた届けに来てもらって、ということになりとても不便だった。それだったら直接買いにいくよ、的な。

・それを自社配送にして家に着く何十分か前に購入者の携帯に電話して、職場から直接家まで取りにきて貰うようにしたら、便利だという口コミが広がって一気にユーザーが増えたとか。職場から家が近く、昼休みや仕事中でも普通に職場から普通に家に戻ったりするのもシンガポールならでは。

シンガポールのコンテンツは他の国からの寄せ集め。政府はコンテンツを欲しがっていて以前はディズニーランドの誘致にかなり金を出した。日本からアニメなどのコンテンツを持って来れるなら、政府も金出すだろうしネット配信するなら日本で言うNTTドコモのような会社の副社長に繋ぐよ?とのこと by 村上さんの友達

・その際に有料配信よりインターネット放送局みたいなの作ってアニメを無料配信して会員を集めて、リアルイベントで収益出す方がいいらしい。以前日本のアニメ展みたいなのがシンガポールであって、三日間で10万人(国民の1/50!)集まったらしい。

シンガポール政府は超クール。以前は大前研一氏などもアドバイザリーに雇っていて、今後は世界中か観光客も誘致しようとしてくるだろう。実はあまり知られていないが、一部違法店は除いて、風俗産業も全部政府が合法的に管轄している。

・以前スタンフォード大学に行った時にも聞いたことあるが、シンガポール政府は優秀な大学生に奨学金を与えて海外の先進国の大学に何年か派遣する。その代わりに帰国したら5年は政府で働かなければならないという制度がある(確かAスターという制度?)

シンガポールでは小学校の成績で上位10%とその他90%に分けられて、上位10%がその後中学高校大学とエリート層として教育され、政府に入る。優秀な奴だけがっつり投資して育てて、そいつらが国を引っ張る、という感じ。

シンガポールでは好景気で伸びているから、グルーポンホットペッパーの不況型モデルはあまり刺さらない。日本もバブル時にはあのモデルは流行らなかったでしょ?とのこと。

シンガポールにある日本の銀行はてんで話にならない、とのこと。会社が好調だから融資の話をしたとき、シティなど外資系銀行は喜んでお金貸すと行ってたが、日系の某銀行は本社が日本にないと融資できません、と言われたらしい。シンガポール支社に融資を決める権限がないってこと。

・さらに日系の企業で目立つのが、シンガポール支社を日本と同じ賃金体系にして人件費が高いこと。サムスンシンガポール支社は、本社からシンガポール支社で人を募集するとき、現地採用にする。つまり給料も現地水準だからその分人件費も下がって利益がだしやすい。

現地採用になっても。そのかわり実績出せば現地法人の社長など、より高い役職&給料が与えられる。だからやる気のある社員は進んで現地採用で給料が下がっても進んで海外法人に行く。

シンガポールの会社も意外と日本人を募集している。Googleシンガポールオフィスだとか、シリコンバレー発のスタートアップのMig33とか。Mig33もシンガポールよりインドネシアで多くのユーザーを獲得してるらしい。

・マレーシアの友人宅で、家族の時間の使い方を観察した結果は、テレビ>>(越えられない壁)>携帯>パソコン だった。東南アジアではまだまだテレビが娯楽なのだろうな。ネットでコンテンツ配信するなら、ネット経由でテレビも端末として捉えた方がよさそう。

・マレーシアの意外な車の使い方として、携帯と車のラジオ(?)をBluetoothで繋いで運転中に掛かって来た電話を車のラジオに転送、そのまま車のラジオで通話してる感じ。車も一家に一台というより、一人一台。実際俺が居候してた友達の家に車が4台あった。

というような話をしたり聞いたり。もしくは現地を自分なりに観察した結果。
その国の文化に合わせてサービスをローカライズさせるのが重要、とはよく聞くが、その具体的事例としてとても参考になったのと、やっぱりユーザーのwebの使い方は日本の方が進んでるかな、と思ったり。
そして聞いたことをまとめながら海外で働きたくなって来ましたなあ。そんなオファーないでしょうか。←と、ソーシャル就活してみるw
とりあえず、シンガポール・マレーシア旅行のまとめは以上にておしまいです。